秘密 |
朝日のbeに読者へのアンケートでつくる企画ページがあり、今週のそれは「誰にも言えない秘密はある?」だった。
Yes 59% No 41% 。
おいおいウソだろう。秘密の無い人間が41% もいるのかよ!?。と、私は驚いた。まあ、朝日の読者は朝日新聞同様偽善者(違った)、品行方正な人が多いのであろう。
しかし朝日の素晴らしいところは、その誰にも言えない秘密は何か?を聞いているところだ。そして何人かが答えている。「誰にも言えない秘密」を天下の朝日新聞で公開させてしまった時点で「誰にも言えない秘密」では(つうか「秘密」ですら)なくなってしまっているとも思うのだが、、、。
掲載されていた秘密は、生活保護を受ける男性が追い詰められ「寝たきりの母親の首に手をかけたことがある」という、、とっても“朝日好きのする”深刻で暗い物語から、「友達の不倫相手と(友人に内緒で私も)不倫している(30代女性)」みたいな「何言っちゃってるの!?バカ女が」みたいなものまであった。
ちょっと不思議に思うのは、(女性はそういうのは平気なのか?)、女友達と(俗に言う)“兄弟”に(この場合は“姉妹”だが)“姉妹”になるという、男だったらなるべく避けたい状況を自ら作り出しているところである。
普通男にとってそれは「えっ、うそ!、じゃ、俺たち兄弟だったのかよ!?」な取り返しのつかない過去。99%“後の祭り”的、微妙な嫌悪感を伴う引き攣った笑いで誤魔化しちゃうしかないような出来事なのである。
さて、一番私が興味を惹かれた秘密は、「友人の家は不妊治療中というが、奥さんは実はピルで避妊している」というものだった。
これは「誰にも言えない秘密」ではなく、旦那と旦那の舅・姑には言えない秘密でしかない。しかもそれを友人が新聞にバラしちゃったわけである。
こういう話を聞くと私はスグに感情移入してしまう。勿論、不妊治療中の旦那にである。無自覚的なシーシュポスとも言えるこの旦那。
巨大な岩を山頂まで上げるよう命じられたシーシュポス。「あと少しで山頂」というところまで岩を上げると、岩はその重みで底まで転がり落ちてしまう。永遠に終わらない仕事。その行為の総てが“徒労”としか表現できない。しかし、シーシュポスは今もタルタロスで巨大な岩を押し上げている。
不妊治療中の旦那の行為も“徒労”でしかない。絶対に妊娠するわけがないのだから。「子どもを作る」ただそれだけが目的でセックスをすることほど虚しいものはないような気もする(セックス本来の意義を考えると逆説的ではあるが)。
妻に夢中な私にとっては想像するのが困難な世界ではあるが、、、「あ~もう、うんざり。今回で終わりにしてくれ。絶対に妊娠してくれ。俺を妻とのセックスから解放してくれ!」というような心模様であるかもしれない。
それでも射精しているのだから(それなりな快楽はあるわけで)岩を押し上げるだけのシーシュポスよりは「救われている」と言えるのかもしれない。